負の原動力
僕がいま、これまでのキャリア(と呼べるほどのものでもないけど)を捨てて、まったく異なる業界に身を投じようとしているのは、もちろんその業界に対する憧れと、自分もそれを生業にしたいという強い思いがあるからだ。
しかし、そこには純粋な憧れにくわえて、その業界で名を馳せることで他者からの羨望を浴びたいという見栄、とりわけ、こと恋愛において辛酸を舐めさせられた歴代の男たちに自分の成功ぶりを見せつけて、あわよくば袖にしたことを後悔させてやりたい、そんな歪んだ願望も原動力の一端を担っている。
自分は一体いつになれば他者の承認に依存せず自尊感情を得られるんだろう、そんなことを思い、ふとむなしくなった。