内省の海

持病との付き合いや日々思うことをつらつらと

年内最後の診察を終えて

8ヶ月前、確認検査を受けるため不安でしかたない気持ちで拠点病院を訪れたとき、そこにいたHIV患者(と思われる人たち)がスタッフと朗らかに談笑するなど、その明るい雰囲気に驚いたことを覚えている。

ほどなくして僕もコーディーネーターナースをはじめとする外来のスタッフと接し、患者たちの明るさにうなずくことになる。なるほど、彼ら彼女らはとても親身に僕らに向き合い、その不安の多くを取り去ってくれた。

それから何度か外来に通ううち、魂が抜けたように虚ろな表情で看護師の説明を受ける患者を見かけることもあった。

ああ、ひょっとしたら彼は感染が発覚して、今日初めてここに来たのかもしれないな。

そんなとき、自分が初めて外来を訪れたときのことを思い出した。

その存外に明るい雰囲気は、僕に驚きをもたらすとともに、つよく勇気づけてもくれた。

もちろん無理をして気丈に振る舞う必要はない。

でも、少なくとも感染前と同じようにまた笑顔になれるとわかることは、その日初めて外来を訪れた患者の救いになるかもしれないのだ。

8ヶ月前の僕と同じように。