内省の海

持病との付き合いや日々思うことをつらつらと

運命の電話

サイトメガロウイルスの件でにわかにHIVへの不安が高まり、すぐにでも検査を受けようかとも思ったが、4月にSH外来 *1 での検査を控えていたこともあり、それまで待つことにした。

そうこうしているうちに微熱も下がり、次第に不安も和らいでいった。

 

そうして迎えたSH外来受診日。

検査もこれで3回目なので慣れたものだ。

午前休を取って、検査を終えると病院から出社し、いつもどおりに会社で仕事をこなし、いつもどおりの一日が終わろうしていた。

はずだった。

 

夕食を終えた午後7時過ぎ。

未登録の番号から電話がかかってきた。

普段から知らない番号の着信には応じないため、電話が切れてからどうせまた勧誘か何かだろうと思い、インターネットで着信の番号を検索した。

するとそれは午前中に検査を受けた病院の番号だった。

 

一気に鼓動が早くなる。

検査結果は数日後メールで知らされるはずだし、これまでもそうだった。

なのにどうして?

ふいに嫌な予感が胸に広がり、慌てて着信の番号にかけ直した。

 

電話は病院の夜間窓口に繋がった。

窓口の男性に、今しがたそちらから電話があったこと、今日SH外来で検査を受けたことを伝え、そちらに繋いでほしいと依頼した。

 

「この時間はどの外来も閉まっていますが…」

 

「でもお電話いただいてからまだ5分も経ってないんです。とりあえず確認してもらえませんか?」

 

切羽詰まった僕の口調に若干いらだった様子で男性は了承し、通話を保留に切り替えた。

数分後、保留音が鳴り止むと男性は無慈悲にもこう告げた。

 

「やはり誰も出ないようです。急ぎであればまたかけ直すと思うのでお待ちいただけますか」

 

にべもなく通話は打ち切られ、あとにはどうしようもない不安だけが残った。

時刻は夜8時を過ぎていたし、今日中に電話がかかってくるとは思えない。

かといってこんな心境ではとても寝つけそうにない。

祈るような思いで電話を待っていると、再びスマートフォンが鳴り、病院からの着信を告げていた。

*1:国立国際医療研究センター病院に開設されたゲイ・バイ男性を対象とした性感染症の専門外来。僕はここで3ヶ月ごとに検査を受けていた。